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◇交流 第9話

Penulis: 設樂理沙
last update Terakhir Diperbarui: 2025-03-12 11:23:44

9

『僕の名前は綺羅々《きらら》』

『私は野茂美鈴』

『よければ、その胸の内にある悲しみを僕に話してみて』

『夫が……あぁ、私は結婚していて、伴侶がいます。

これまでずっと仲良く暮らしてきたのですが2か月ほど前に

ある女性と出会い、その人と付き合うようになってからは休日も

朝から出かけてしまいほとんど二人で過ごすことがなくなってしまって』

『少し慣れてきたところで、正面を向いてもいいでしょうか?』

『あ、はい』

私のほうへ身体を少し斜めにずらして顔を見せてくれていた綺羅々が

正面を向くと共に、視線が私の顔を捉えた。

見つめられると恥ずかしくなるくらい、彼はすごく魅力的だった。

綺羅々は、キリリとしてほどよく整った眉、二重瞼のクリっとした目を

しており、鼻筋の通った凹凸のはっきりとしたハンサムな顔をしている。

綺羅々が微笑んだので私も慌てて不自然にならないよう、微笑み返した。

『心変わりっていうやつですね。

こんなに可愛くて素敵な奥さんがいるっていうのに。

きっと旦那さんはあなたがいつも身近にいるのが当たり前になって

しまっていて、あなたがどんなに大切な存在なのか、ということを

失念してしまっているのでしょう。それはさぞかし悔しかったこと

でしょう』

『夫が彼女に出会った日に、すごく酔っぱらって帰ってきたことがあって

その時に

「彼女さぁ、むちゃくちゃ俺好みなのよー。ドストライクぅ~。んとにな、

古女房とは比べ物にならんっ。あははははーっ。真知子ぉ~、スキっ」

って言いながら彼女からもらった名刺にキスしたの。

それからこうも言ってた。

「俺は行くよ、デート。彼女と行く。美鈴に邪魔なんてさせねぇー。

コンチクショウ、古女房に発言権なしっ。

そうだ、捨てればいいんじゃないか。古女房はポイっだ。

俺は真知子ちゃんと結婚するー」って。

私、結婚生活を全否定されたようでとてもショックでした』

『それは酷い、ひど過ぎる』

と綺羅々が言ってくれた。
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    Terakhir Diperbarui : 2025-03-17

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    66「たぶん、今生こうやってあなたと出会えたのは僕が東北という地に産まれ落ち、特殊な能力を持てたからだと思います。……といっても、僕はイタコを生業にすることは選択しなかったので、所謂修行みたいなものは一切してないんですよね。祖母がイタコでしたが祖母からも両親からも無理強いはなく。ですので僕の場合は我流というか、高校生になった辺りから自然と霊能力が強くなりまして。その頃にあなたと自分の過去世を知りました。それは今生だけではなくて、何度も何度も転生を繰り返してきた過去世も含めてでした。ある時は今のように地球に生れ落ち、ある時は金星に誕生し、またある時は土星に生を受けたり。ですが、そのどの時も同じ場所同じ時を生きてはいませんでしたので、私たち2人が……」『結ばれることはなかったのです』迷いがあり、俺は最後の言葉を口にすることができなかった。「今まで、ただの一度も出会うことはなかったのです。今日はここまでにしますね」今回の時間だけでは語りつくせない気がして。ちゃんと説明を丁寧にしてからでないと、余りにも意味深過ぎて警戒されそうに思ったから。『えーっ、なんかぁ、決定的なことを聞けてないようで不完全燃焼ですー。私と遭う目的は? 何のために? って何だか訊きにくいんだけどぉ。いつかもっと分かるように話てくれるのかしら。あー、じれったい』そう思いつつも無理やり聞き出すというのも大人気なく思い、私は彼の言葉を受け入れることにした。

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    59結局その後、メールの遣り取りを経て、私は根本さんに誘われる形で市の『宇宙人を探せ! in 宝が池公園』と銘打つウォーキングに参加することとなった。参加を決めてから当日までを数えると20日余り。健康と美容のためもあり、私は毎日人気《ひとけ》や車の往来の少ない道を選んで練習を重ね日々を過ごした。……そして、イベント当日を迎える。私たちは根本さんの車で現地まで行くことにしたのだが、周辺の駐車場が少ないため、予定時刻よりかなり早めに出発し最寄りのカフェで朝食を摂ることにした。私はドーナツと紅茶を、根本さんはサンドイッチとコーヒーを注文し時間を潰《過ご》した。外を歩くにしても公園内で時間を潰すのにも、今が暑からず寒からずの良い気候なので助かる。食後しばらく胃袋を休ませてから、私たちは公園へと向かった。― ある日、宝が池公園に宇宙船がやってきた……というSTORY. 宇宙船に乗っていたのは、ご当地観光ツアーに来た宇宙人で、わくわくが止まらない宇宙人は、ツアーガイドの言うことを聞かず好き勝手に行動しはじめてしまったという設定。宇宙人を探し出すというのがミッションだった ―いや、何て言うか……親子連れとかだと楽しくて良い企画だと思うけど。でもまぁ、ひたすらゴール目指して歩くだけよりは途中でおさぼりもできそうだし、いっか。根本さんが何才なのかは知らないけど私と似たような年齢だと思うから何が悲しくておばさんとおじさんがこんな子供向けのイベントに参加とは……とほほのホと思わなくもないけど、よいお天気だし気持ちよく過ごそう~っと。しばらくの間、ここかなあそこかなと探しまくっていたけれど人目のつかない場所で何度か私たちは休憩し《だらけ》た。2回目の休憩迄は『宇宙人はどの辺にいるのだろう』と今回の趣旨に外れない会話だったが、3回目の休憩タイムに入った時のことだった。「野茂さん、最近金星人と接触したことあるでしょ」と根本さんから言われた。えーっ、一体全体~どういうこと? 大体からして、金星人という言葉自体普通の人間の人知を超えた単語で、尚且つ私がその疑わしいような金星人と出会っているなんてことを知っているなんて、根本さん……何者なのじゃ。実際自分が体験しているというのに、私は頭が真っ白になるわ、胸はドキドキするわで、

  • 『輝く銀河系の彼方から来しトラベラー』ー古のタビ人―   ◇楽しいをシェア 第58話

    58『一人で水族館巡りかぁ~』なんて考えていたら、すっと自然に側にいた根本さんから話し掛けられてそのまま一緒に見て回る雰囲気になった。あちこちあ~だこうだと話しながら、最後には一緒に座り何年か振りにイルカショーを見た。彼と声を掛け合って楽しいをシェアできて気持ちよかった。気付くと自分に笑顔が増えていたー。普段使ってない筋肉をめいっぱい使ったような気がする。さて、次に訪れたのは京友禅体験工房での染め物体験だった。何種類かあるうちの型紙を選んで染料を筆に取り塗って染めていく。仕上げた後で根本さんと見せ合いっこして、感想を言い合った。イケボとの会話は殊の外、心が癒された。そしてその次に行ったのがビール工場の見学で機械を見たり、ぬいぐるみと一緒に撮影したり……私と根本さんふたりで一枚のフィルムに中に納まった。『ねぇ、確実に私……運気上がってない?』存外に楽しくて、バスから降りる段になるとあっという間の一日だったなぁ~なんて思えた。自宅に戻れる安堵感と共に、ひょいと寂しさが顔を出す。「今日は1人きりでの行動だと思っていたのに根本さんと同行できて楽しかったです。ありがとうございました」「それはわたしのほうです。やっぱりおしゃべりできる相手がいると楽しいし、時間の過ぎるのがあっという間でしたね。ははっ。」「じゃあ、これで失礼します」そう言い、美鈴が潔く踵を返し歩き出したあと、根本から思い出したかのように呼び止められた。「そうだ! 自分のところの宣伝みたいで申し訳ないですが……」美鈴は声の主の方へ振り返り首を傾《かし》げて返した。「はい?」「実はですね、もうすぐ毎年恒例のウォーキングイベントがあるのですが、 よろしければ参加してみませんか? 一緒に参加するご友人とかご家族がいらっしゃらないのであれば、わたしがお供しますので」目の前のイケボが言う。『わたしがお供しますので……』『わたしがお供しますので…』『わたしがお供しますので』行くに決まってるでしょ。「予定が入っていなければ、参加させていただきますね」「ありがたい。じゃぁ、詳細をご連絡したいので名刺に載せてるわたしのメールアドレスに空メール送ってもらえますか」「……はい分かりました。今どきは名刺にメルアドも書いてあるんですね」「はははっ、役所

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